冷たくもなくなった指先
虚空をさまよう指先はスマートフォンの上を滑った。全てがわたしの胸へと突き刺さる。返ってくる。
微量のアルコールは毒にもなりきれず、脳と目の前が煙るような感覚に襲われた。
愛とは?愛の形とは?少しずつ変わっていく。わからなくなってしまってからが本番だ。どう定義すればいいのか?やさしいふりをして変えた放った言葉は、朽ちてばらばらと崩れる。
僕は悔しかったんだと思う。自分の目の前で流れるドラマは誰にでもあるものだと思っていたし、自分が経験したことがないことにしか価値がないと思っていた。胸を張って生きることができていないのだ。
あなたはまた戯言を言っているのだろうか。手が冷たいだなんて。
元気にくたばってくれ。ずっと先まで瑞々しい笑顔を覗かせながら。
何度目かのさよならを吐きながら、一応明日へと時を進める。