「藍色無声」を聴いて
大変遅ればせながら、indigo la endの「藍色無声」というアルバムを聴いた。
キラキラと輝く大好きな曲たちのインストゥルメンタル。一つ一つの音が体に染み渡っていく。声が無いからこそ見える世界があって、こんなことまでしいたのか、という発見とともに心が綻んだ。
「夏夜のマジック」はいつまで経っても色褪せない。ギターがこんなに煌びやかな音だったとは、美しいコーラスに気を取られて聴き込めていなかったなと反省した。夏の夜に浮かぶ星のように、光っている。どこまでも歩いていけそうな広がりと裏腹に、サビでは閉じゆく夏に手を伸ばすような焦燥感も感じられ、厚くなる音がそれを盛り立てる。
「蒼糸」は急に冷えた秋の日だろう。突然空気が澄んだように感じ、少しばかり高く感じる音を繋ぎ合わせ、手繰り寄せるように気持ちを通わせる。愛して欲しい気持ちとはうらはら、無為に重ねてしまう「さよなら」をストリングスが縁取る。
「さよならベル」透き通るような初夏の空の下。ギターが別れを張り裂けそうな声で唄う。駆け抜ける季節、じりじりと喉が渇くような感覚に襲われる。
「想いきり」はブラウン管のテレビで見たトレンディドラマのようだ。あの頃分からなかった登場人物の心情を、今なら少しでも掬い上げることができるだろうか。
声が無いから、言葉がないからこそ至る考えがある。大好きなものには、様々な角度から向き合っていたいものだ。大切なことを教えてもらった気がする。